こんにちは。
自死遺族専門カウンセラーの向井はじめです。
僕自身も間違っていたのですが、「自殺」と「自死」の言葉の使い分け。
2014年あたりから、「自殺」を「自死」に言い換えようという運動がさかんになりましたが、NPO法人全国自死遺族総合支援センターさんの『自死・自殺』の表現に関するガイドラインを見てみると、このムーブメントは、たんに「自殺」を「自死」に言い換えようということではないことがわかります。
今回は、「自殺」と「自死」の言葉の使い分けというテーマでお話します。
なぜ「自殺」⇒「自死」の言い換えが起こったのか?
なぜ「自殺」を「自死」に言い換えては?という議論が起こったかというと、遺族の存在があるからです。
追い込まれて命を絶つしかなかったケースが多いのに、自殺という呼称は『命を粗末にした』『勝手に死んだ』という誤解を招き、遺族を一段と苦しめるということから、このムーブメントがおこったのです。
確かに、「自殺」を「自死」と言い換えることで、受け取る印象は変わる気もしますが、そもそもの定義はなんなのでしょうか?
行為を表現するときは「自殺」、遺族や遺児に関しては「自死」を使う
行為を防ぐための取り組みは、「自死防止」という表現は好ましくありません。「自殺防止」と表現します。
何故かというと、自死だと「死」の原因を美化しているように聞こえ、「自殺」ということの重大さが伝わらないからです。
ですので、「自殺未遂」「自殺企図」「自殺のサイン」等を「自死未遂」「自死企図」「自死のサイン」とは言い換えることは望ましくないようです。
自殺総合対策大綱
自殺総合対策大綱は、自殺対策基本法に基づき、政府が推進すべき自殺対策の指針として定めるものです。
要するに、政府が自殺対策をどのように進めていくかについてをまとめているものです。
そこには、
「自殺は、その多くが追い込まれた末の死」と定義されています。
つまり、自殺はその「瞬間」だけでなく、「瞬間の連続」=「プロセス」で起きているという理解が、その背景にあるのです。
自殺と表現すると「瞬間の行為」が強調されて伝わる可能性があるため、「自死」と表現するほうが好ましい場合があります。
遺族に関する表現は、「自殺」という行為自体にスポットはあてられていないため、「自殺遺族」と表現するのではなく、「自死遺族」と表現します。
タブー視しない
「自殺⇒自死」の言い換えは妥当かどうか?という命題がありますが、僕個人としては、それで少しでも遺族の心が楽になるのなら、いくらでも言葉は変えてもいいのではないかと思います。
この言葉の意味がどのような意味なのかが広まることで、日本の自殺問題について考えるきっかけになることを願うばかりです。
2 Comments
坂本さつき · 2017年7月3日 at 3:55 AM
私は、自死遺族です。
自殺した父を、やっと受け入れれるようになりましたが、敢えて自殺と言いたい気もします。
それでも、聞かせる相手には、自殺より自死のほうが、柔らかいのかもしれませんね。
宮田将樹 · 2017年10月3日 at 5:53 AM
自殺総合対策大綱
そんなものがあるのですか。しょせん絵に描いた餅ですね。
あんなに危険な薬野放しにしておいて。家内はSSRIという薬に殺されました。